最高の輝きを
技術と精度で
創り出す
ダイヤモンドはカットによって輝きを生み出します。
海外の工場などで大量に生産されるダイヤとは違う、工房のダイヤの輝きにはこだわりがあります。細部まで妥協のないこだわりとは一体何なのだろうか・・・ その秘密を紹介いたします。
画像はラウンドブリリアントカットの図面です。この図面を用い工房の研磨のこだわりについてご説明いたします。

パビリオンへのこだわり
パビリオンはダイヤモンドの輝きを生み出す土台となる、大切な面です。
バランスよく均等に輝きを放つには、並々ならぬ工房のこだわりが隠れています。
キューレットチェック

ここでのチェックは「しっかりとダイヤモンドの中心にあること」「周囲の8面で形成される点で揃っていること」の2点です。
右画像の「良い例」をご覧ください。しっかりとパビリオンの中心にキューレットがあり、点で揃っているのが分かると思います。
右画像の「悪い例」をご覧ください。上はキューレットが中心からズレています。こうなると各面の長さにバラつきがあり、輝きに偏りが生じる原因となります。
悪い例の下はキューレットが点で揃っていません。これも輝きに偏りが生じる他、面の幅に大小が出来てしまい光を前面に反射しなくなるケースもあります。そうなるとダイヤモンドなのに暗い印象になってしまうのです。
どちらに問題があっても輝きを大きく損なう大事なチェックポイントです。しかし、正しい方向で、同じ角度でカットしていればズレることはありません。
基本中の基本なのですが、一般のダイヤモンドでVeryGoodやGoodと評価されるものにはこの基本が出来ていないものも多く、工房のダイヤモンドとの大きな差と呼べるものになっています。
下の画像は工房のダイヤモンドのパビリオンを撮影したものです。ダイヤモンドの中心にしっかりとキューレットがあり、点で揃えられているのが分かります。

パビリオン面の均一性チェック

画像の「良い例」をご覧ください。オレンジの面がメイン、黄色の面がロワーです。ここでは1箇所を例としていますが、メインは8面ロワーは16面あるので、各箇所同じようにチェックします。良いカットは、メインがロワーとロワーの中心を通り、左右にあるロワーが均一の大きさになっていることが必要です。
「悪い例」のダイヤは、メインが中心を通っておらず、左右のロワーも幅が広かったり狭かったりで均一ではありません。こうなると面の対象性が損なわれてしまうため、光がダイヤ内部で反射する際に見ている人の目に戻らなくなり、暗がりを作ってしまう大きな要因となります。
こうなってしまう原因は多々ありますが、メインを8面カットする際にしっかりとダイヤの外周を8等分(45°ずつの方位)できていないことや、ロワーの方位がズレていることが最大の要因となります。
工房ではこのミスが起こらないよう企業秘密のやり方で、決められた方位と決められた角度でカットすることができます。どの面を取っても正確なカットをすることが、最大の輝きを放つ第一歩なのです。

ロワーファセット笹目点チェック

笹目点とは、ダイヤの直径を100%とした際のロワーファセット(以下ロワー)の長さを%で示した数値のことです。
パビリオン全25面のうち16面を有するロワーの出来は、輝きを左右するパビリオンの中で最も重要とされるポイントの1つとなります。
右の「良い例」をご覧ください。笹目点が均一に揃っていると、キューレットを中心とした小さな赤い正八角形とぴったり重なります。側面図でも同じ高さに揃っていることが分かると思います。
「悪い例」では笹目点の高さがバラバラになっています。バラバラになってしまうのは、ダイヤをカットする際にあらゆる方向から正確に観察する目が必要です。一見揃っているように見えても相手は立体なので、一方向からだけでは判断できないのです。ダイヤを光で反射させ、その面の笹目点をしっかりと把握するプロの目が必要になってくるのです。
悪い例のようなダイヤになってしまう原因には上記の「目で見ての判断不足」もありますし、ロワーの笹目点をカットする前の段階で既にミスがある場合などがあります。工房のダイヤはそうなる前に、事前にも数種類のチェックをしていますし、笹目点でもミスが出ないように特殊な顕微鏡を使い実測値を計るなどしています。
ロワーはメインの後にカットされます。そのためロワーの出来によってはメインの形が崩れてしまいます。そこをチェックします。

クラウンへのこだわり
クラウンはダイヤモンドの顔とも言える、そのデザインの印象を決める大事な面です。
その顔を引き締めるクラウンには、譲れない工房のこだわりがあります。
テーブルチェック

テーブルは上から見た場合、正八角形でなくてはなりません。これが歪んでいると、隣り合うスターファセットの形や角度がおかしいことに繋がります。テーブルの各辺がしっかり平行になっているかどうかも確認します。
「良い例」をご覧ください。各色が対向にある平行線を示してします。赤の線ならもう一方の赤の線が「対向する辺」となります。このように、対向する辺が平行で、且つ全ての辺の長さが同じでないといけません。テーブルはクラウンの出来上がり具合を一目で判断できるクラウンの基本であり最重要な面です。
テーブルにはスターファセット8面が隣接しています。(画像上の赤色部分)隣接しているため、テーブルの形がスターに直接影響します。その影響が「悪い例」に代表される、よくあるダイヤのカットで生じる輝きのバラつきにつながることになります。
悪い例上は、各辺の平行はOKですがスターの三角形で分かるとおり、辺の長さがバラバラになっています。テーブル(スター)が揃っていないと、肉眼でもわかるような歪んだ面になってしまい、内部で反射した光の出口が大小あることになってしまうため輝きも悪くなります。
悪い例下は、良い例のように「平行」も「長さ」も揃ってはいますが、よくみるとテーブルが回転しかのようにズレています。このようなねじれは多々あり、「カットする職人のクセ」や「カットする場所の水平が取れていない」などの理由が反映された結果起こる失敗です。
工房ではこのような人為的なミスがないよう、クセを反映できないようなカットの方法をとり、水平も特殊な方法で1ミクロンの傾きもないような場所でカットしています。

スターファセットの「よれ」チェック

スターファセット(以下スター)とは、テーブルに隣接する三角形の面のことです。全部で8面あります。スターの三角形の底辺はテーブルの八角形と同じなので、テーブルの形に大きく左右されます。
スターのチェックはテーブルが完璧にカット出来ていることが前提になります。テーブルに問題がある場合は上のポイントでOKが出ないからです。
スターは入射した光をパビリオンで内部反射させ、スターに戻ってきた光を拡散させ輝かせる役割を持った重要な面です。スターの形が正確に揃っていないと、輝きがまばらになりキラキラとした輝きが損なわれてしまいます。
スターのチェックは2ポイントです。1つ目は「二等辺三角形であること」です。
「良い例」にあるスターは全て二等辺三角形になっています。
「悪い例」の上段は、三角形がヨレており二等辺になっていません。
2つ目は「全てのスターが同じ大きさ」であることです。
「良い例」のスターは三角形の高さが全て同じなため大きさも揃っていますが、「悪い例」下段のスターはカットが甘かったりカットしすぎたりで大きさのバラバラなスターになっています。
このように、スターはテーブルに左右される面ではありますが、テーブルがOKだからといってもスターが全く揃っていないようなダイヤモンドも数多く存在します。全体のヨレもスターが大小してしまうのも、職人のカットの癖や細かい面をルーペで見ることの不正確さが影響している場合もありますし、海外での大量生産の弊害でもあります。
どちらもこう見ると不恰好なカットではありますが、これでも「Excellent評価」のダイヤモンドが存在します。現在のカット評価は悪いところを減点していくというよりも、良いところと相殺してプラスマイナス0にしてしまうような評価をされているからです。
見た目の印象がダイヤを選ぶ一番の基準とは言え、同じカット評価なのにわざわざ良くないカットのダイヤモンドを手に入れるのはもったいないと思います。
工房のダイヤは、職人の癖などが影響しないよう、スターが完成する前のチェックと完成までの確認を顕微鏡を使いながらカットします。ルーペだけでは確認しづらい細かい部分まで見ることで、完成をイメージしやすいのです。

研磨のこだわり まとめ
ダイヤモンドは直径など形状ではミリメートルの小さな世界ですが、1面1面での調整ではさらに小さいミクロン単位の世界です。また、角度を調整する研磨は感覚が物を言い、研磨職人の感性が問われる手作業です。
ダイヤモンドデザイナーによる指示を的確に研磨する研磨職人、それぞれの技術力や感性が合わさることで世界最高の輝きと称されるダイヤモンドとして皆様にお届けできるのです。