ダイヤモンドデザインってなに?
ダイヤモンドの特性を理解し、新たな輝きや個性をデザインする
ダイヤモンドは天然の素材です。車や家具、ジュエリ-などその他のデザインとは違い、ダイヤモンドの性質を無視することはできず、どんなものでもデザインすることができるわけではありません。
ダイヤをデザインするにはまず、ダイヤモンドの特性・特徴を理解しなくてはならいのです。ダイヤの主な特性としては「非常に高い屈折率」「面の角度による臨界角」「最も硬いモース硬度10」「靭性(じんせい)が低い」などがあり、そのすべてを含めて考えていくのです。靭性とは、衝撃に対する強度を指します。
その上、実際のダイヤのみでプロトタイプを製作してしまうと、材料費がものすごいことになってしまいます。もちろん、最終的にはダイヤモンドでプロトタイプを製作します。
黄金井が作り出すデザインは、偶然の産物のようなデザインではなく、計算をし結果を予測して描き出します。
ダイヤデザインはダイヤの特性を活かす
デザインに重要な2つの特性
非常に難しい話なのでイメージすることは難しいかもしれませんが・・・こんな知識を使ってデザインしているということを知ってください!デザイナーの考えが少し理解できるかもしれません。
ダイヤモンドの屈折率
ダイヤモンドはおおよそ2.417の屈折率を持ちます。赤い矢印の始点のように光が入射した場合、線の進行のように内部で光が反射し、上部に射出されることで目に見えて輝きます。
ダイヤモンドの臨界角
臨界角は48.8°(24.4°の臨界角を左右に持つ)です。下の黄色の部分で示した部分に屈折率の図のような内部反射が入射した場合、外に光が射出され、目に見えて輝きます。黄色部分以外の角度で入射した場合は、再度内部反射が起こります。
こんな流れでデザインする!
それぞれにコンセプトを持たせ、実現可能なものかを計算する
コンセプト~デザイン図面の作成
ダイヤモンドをデザインするにあたって、まずはどんなコンセプトを持ったデザインなのかという考えからスタートします。輝きに重きを置いたダイヤなのか、形に特徴があるダイヤなのか、工房オリジナルのように模様を映し出すダイヤなのかなど・・・どのような意図を持ったダイヤなのかを思案します。
コンセプトが決定したら、それをデザインに落とし込みます。しかし相手はダイヤモンド、デザインとは言え一筋縄ではいきません。ダイヤモンドの特性(光の屈折率や屈折の方向など)を理解した上でのデザインとなります。どんな面の大きさや角度を持ったデザインが一番コンセプトに沿ったダイヤになるのかを考えます
デザイン決定~数値の計算と確認
デザインを決定したら、次はそのデザインをどのような数値でダイヤモンドのカットにするかを考えます。
ダイヤモンドとは各面に名前があり、それぞれに角度や大きさ、長さなどを指定してあります。各面の角度が数値として決定していないと、職人がどのように研磨していいか伝えることができません。「この面を45°」というように、1つ1つの面の角度などを指定することで、デザインをダイヤモンドに作り上げる基準とするのです。
数値として決まったところで、実際にカットする前に鏡を使った確認作業に入ります。これは、ダイヤモンドという高価な材料を使用するため実際に試作する前にも出来る限りの方法で完成形の確認をとるためです。
対角に並べた鏡の中央に適当なもの(ダイヤの代用)を置き、角度とその写り方や写る形などを確認します。
デザインの書き出し~試行錯誤
デザインのカタチが決まったところで紙面に書き出します。上記の鏡を使ったもののような大まかなデザインのイメージを、より正確な「完成デザイン」に近づける作業です。
書き出しはまず方眼紙などデザイナー7つ道具(後述)を使い手で書いてイメージを煮詰めていきます。ここまでの作業よりも細かい部分まで注意し考えることで、完成のイメージがどんどん濃くなり、「ここはこうしたほうが輝く」「もっとこうしたほうが個性が出る」などのように、新たなアイデアが盛り込まれることもあります。
ただしここからは試行錯誤、一度決定したからといって妥協はせず、コンセプトに沿った理想のデザインが出来るまで何度も何度も書き直し考えます。
最終的にはパソコンで正確な図面デザインを書き、完成となります。
デザインの数値を表で作成~研磨へ
ここまでに決定した「デザインのカタチを作る数値」と「正確に描かれた図面デザイン」を使い、それを表に落とし込みます。研磨はこの表を元に、職人が眼と手で寸分狂いのないデザイン通りの研磨をします。
ここまでの工程だけでは説明しきれないほどの時間と努力が、デザイン完成までに注がれています。一般化した業種ではないため、すべてのアイデアや使用ツールも含め工房が独自に考えたものを使用していますし、「ダイヤモンド」という世界で1番硬い物質をいかに料理すれば最高のものが出来上がるのかを自分達自身で考え付かなくてはいけません。
工房のダイヤモンドはデザイナー・職人のすべてがつまった最高のダイヤモンドである!と自負しています!
デザイナー7つ道具
1つ1つは普通の道具ですが・・・
アイデアからデザインを完成させるには、ローテクではありますが手で書いて徐々に煮詰めていくことでデザインを1から考えるのが私は好きです。
発想と経験を駆使しながら一歩ずつ考えていくことで、今までにないデザインのダイヤモンドを生み出します。
使うものはさほど変わったものではありません。しかし、経験と知識を生かすことで、これらのものが魔法の道具のように思えてきます!
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