差を感じづらい
「カラー・クラリティ」
ダイヤモンドのランクを示す4Cの中で「カラット」は重さ、そのため輝きに影響のあるものではありません。
「カット」はポイント①にもあるように、カット職人のウデが反映される輝きの素になるため、一番重要視してほしいものです。しかし「カラー」と「クラリティー」はどうでしょうか。どちらも肉眼での判別が難しいため、宝飾店の店員さんたちであっても見分けができない方も多いです。
重視すべき4C・そうでない4Cを決めておくことで、購入の際により良いダイヤモンドに巡り会える可能性が上がります。
ポイント②ではカラーとクラリティに焦点を当て、内容を理解した上でカラットとカットを大事にしてほしい、そんな内容をまとめました。

1・「カラー」の差を見極める
カラーとは透明度によってDカラーを無色とし、Zカラーまでをランク付けしたものです。Dカラーが最も透明で、Zカラーはかなり黄色なダイヤモンドです。
「ダイヤモンドはカラーが大事なのでD~Fカラーを選びましょう」
こんな謳い文句でダイヤをおすすめされることはありませんか。確かにDに近ければ近いほどきれいな色合いではありますが、その分お値段が高価になります。

フェイスアップでのカラー比較
上の画像はEカラー・Gカラー・Iカラーを並べたものです。
上段がダイヤモンドを上から見た画像(ダイヤを上から見ることをフェイスアップと呼びます)で、下段がカラー鑑定用ペーパーに置いた画像です。
フェイスアップの画像は、普段ジュエリーなどでみなさまが目にするダイヤと同じ見
方です。しかし、フェイスアップで見ることはカットによる輝きの反射があるためカラーを不明確にしてしまいます。画像からも分かるとおり、E・G・Iともにあまり差がありません。プロの目でも判別が難しいのです。
どんなジュエリーでもダイヤモンドは輝きを楽しむためフェイスアップで見ることが多いです。お手持ちのリング・ペンダントなどもダイヤを眺めるときは上からの形になると思います。しかし、その状態では判別が難しい以上カラーはあまり気にしなくとも問題ないのです!

カラーペーパーでのカラー比較
カラー鑑定用ペーパーの画像では、わずかな色味の差がわかるかもしれません。EとIを比べるとIは若干黄色みがかった感じもします。しかしEとG、もしくはGとIを比べてみてください。2ランクの差であればまず気にならないと思います。実際に見比べてみてわかる微妙な差なのです。2ランク差以上であっても、気にならない程度の差であれば、あまりこだわらなくてもいいと思います!
カラーのランクで高価なダイヤモンドよりも、他の部分(カット・カラットやジュエリー部分)にこだわることでご予算内でバランスのとれた最高のダイヤモンドジュエリーを手にすることができます。
画像では伝わりづらい色の差なので、工房でいつでも差を感じてみてください!工房にご来店されるお客様でも「言われてみれば差がわかるくらいだ」と、さほどカラーは気にしない方が多いです。ダイヤモンドが好きで特別こだわりがある方なら、まずカラーを見比べて見てください。色々なカラーをじっくり眺めて、カラーを見るよりも輝きを第一に、キレイだと感じたダイヤが一番きれいなんだ!そういう印象を大事にしてください。

2・「クラリティ」の差を見極める
クラリティは「透明度」、ダイヤモンドの内部にある内包物や亀裂の量をランク付けしたものです。ランクはダイヤモンドを上から見た場合の内包物などの面積で決められています。
ここで重要なのは「内包物は位置によっては目立たず、クラリティのグレードが下であってもきれいに見える」ということです。
ダイヤモンドは天然から作られたもののため1つとして同じものは存在しません。クラリティの良し悪しはグレーディングだけでは測りきれず、内包物の種類や形状だけでなく、位置にも左右されるものなのです。
⇒内包物の種類については【4Cクラリティ】にて

位置による差を見極める
センター
内包物がセンター(中央)にある場合です。
センターにある場合の特徴として、テーブル面の直下にあることで視認しやすく目立つこと、実際の内包物は1つでも光の反射により内包物の反射像が映り込みやすいこと、の主に2つが挙げられます。
これらはダイヤモンドのカットデザインで避けることはできず、例えクラリティ評価が良くてもセンター内包物はあまり良い「位置」ではありません。
ガードル周辺
内包物がガードル周辺(外側)にある場合です。
ガードル周辺にある場合の特徴として、他の面の輝きによって視認しづらいため目立ちにくいこと、ダイヤモンドの形状として厚みがない部分のため光の反射でも反射像が映り込みにくいことが挙げられます。
クラリティ評価があまり良くないダイヤモンドでも、内包物がガードル周辺のみの場合は輝きの邪魔をしづらいため、センターより良い「位置」であるといえます。
深層にある内包物
内包物が深層にある場合、センターと同じく反射像が映り込みやすいです。深い位置にあるということは色々な方向から光を受けやすく、反射像が様々に飛ぶためです。
センターの深い位置にあるとさらに映り込みやすく、ガードル周辺の深い位置であればさほど反射像は映り込みません。
よって、深層にあることがイコール悪い位置というワケではなく、深層であってもセンターかガードル周辺かでも影響が変わる点にご注意ください。
表層にある内包物
内包物が表層にある場合、深層とは逆に光を受ける方向が限定されるため、反射像が映り込みにくいです。
ただし表層ということは浅い位置にあるということですので、深層と比べ視認しやすく目立つ可能性もあります。特に目立つ内包物であるカーボンや横に広く入ったキズなどの場合、深層よりも目立つことになります。
浅ければ良いというわけではなく、目で見て目立つかどうかが大事です。まとめると「表層で色や幅が目立たずガードル周辺にある内包物」であれば、クラリティ評価のわりに良いダイヤモンドであると言えます。




位置による差を図解
異なるクラリティで比較
画像は異なるクラリティの内包物の例です。内包物を赤の線で示しています。
VS2の方がグレードは良いですが、内包物が中心部に位置しており、テーブルという平面の直下のため視認が容易なことから存在が目立ちます。また、光の内部反射によって様々な面に内包物の虚像が映りこむため、実際の小さい内包物が数多くあるように見えてしまいます。(クラリティの評価基準は実際の内包物であり、映り込む虚像は考慮しません)
それと比べグレードの悪いSI1は、内包物はVS2よりも大きいですが位置がガードル寄りにあります。この内包物はベゼルファセット・アッパーガードルファセットと角度を持った面の直下にあるため、その面が輝くことで内包物が視認しづらく、意外と存在が目立ちません。また、位置的に光の内部反射でも虚像が映りこみづらいため、VS2の例のように実際にはない内包物が見える数も少なくなります。
結果的に、クラリティグレードの良いVS2のほうが悪いSI1よりも内包物が多く見え、クラリティが良いのに「きれいに見えない」ということが起こります。

同じクラリティで比較
画像は同じクラリティの内包物の例です。内包物を赤の線で示しています。
どちらも同じVS2であり、内包物の大きさは同じで、位置だけが異なります。
VS2①は上の例と同じく、内包物が中心部にあり視認が容易なこと、位置的に様々な面に内包物の虚像が映りやすいことから、総じて良くないVS2と言えます。
同じグレードであるVS2は、同じ大きさの内包物がガードル寄りにありますが、角度を持った面の直下のため内包物が視認しづらいこと、位置的に光の内部反射でも虚像が映りこみづらいことから、総じて良いVS2と言えます。
同じクラリティグレードであるにも関わらず見た印象や輝きに差がある様に見えるのは、この内包物の位置によることが原因の1つに挙げられます。
輝きを決める大部分はカットグレードの良し悪しではあるのですが、内包物の虚像が多い光の内部反射を阻害してしまうため、カットグレードの良さだけで輝きは良くなりません。クラリティも輝きの一端を担っているのです。

ポイント2 まとめ
カラーは評価に段階が多く、1~2段階の差ではその違いを感じられないものです。しかしその微妙な差でも、カラーの1段階の違いでダイヤモンドの価格が変わります。
しかし、良いカラーでもそうでなくでも、ダイヤモンドは光の反射によって輝くものであり、カラーに影響されず輝くものです。
カラーこだわり過ぎず、ご自分の目で見て色味が気にならない程度のカラーをお選びください。
クラリティは内包物の数による「量」を評価するものであり、「位置」や「種類」は考慮されません。
良いクラリティ評価でも位置によっては、反射像で内包物が目立つこともあります。
逆に悪いクラリティ評価でも位置が良いものであれば、内包物が目立たず輝きを損なうことも少ないです。
位置は肉眼で判別できるものではありませんが、例えSI1などであっても見た印象が良いダイヤモンドは内包物の位置が悪くないものです。クラリティにこだわり過ぎずに、印象をダ大事にしてください。
カラー・クラリティの評価をほどほどに抑え、その分大きいダイヤ(カラット)輝くダイヤ(カット)を重要視することをおススメいたします。
(カラットの重要性はポイント3にて)