「カット」は
輝きの
全てを決めます
ダイヤモンドの輝きは、職人が元の原石や材料ダイヤモンドからどのように研磨するかでその輝きの全てを決めます。ラウンドブリリアントカットや当工房のヒロ・コガネイコレクションなどのデザインの差は個性の1つですが、どんなダイヤモンドでも「輝き」はデザインやダイヤモンドのカラー・クラリティ・カラットとは関係ない「職人の技術」の差が如実に表れます。(あまりにもクラリティの悪いダイヤモンドの場合は技術力を以てしても、どうしようもない場合もありますが)
ダイヤモンドは天然の産物であるため、職人の技術による差は、人が手をかけられる唯一の4C「カット」の評価ExcellentからPoorまでの5段階だけでは到底分けきれないほどに輝き・表情に違いを出します。
肉眼では分かりづらいグレードであるカラーやクラリティーから比べれば輝きの違いは一目瞭然と言えます。そんな「カット」に焦点を当て、輝きの差を生むのは一体何の違いなのかをまとめました。

輝きに差が出る違い
1・テーブル面での比較
カット評価で「Excellent」のダイヤモンドを比較します。
まず注目してほしいのは真ん中の平らで大きな面である「テーブル面」です。
テーブル面は大体のデザインで一番大きい面であるため、視認しやすいわりにその形状に違いが表れやすいため、技術の違いを見るにはうってつけです。
(ローズカットなどのデザインではテーブル面が一番大きい面ではありません)

当工房研磨のテーブル面
テーブル面は正八角形もしくは正八角形にほど近いことが、結果的にカット評価Excellentとなる1つの条件となります。テーブル面を正八角形に研磨するためには、他の隣接する面(三角形のスターファセット・ひし形のベゼルファセット)が正確に8方向に研磨されていることが必須となります。
画像は「当工房のカットしたダイヤモンド(ラウンドブリリアントカット・Excellent)」です。正八角形を当てはめて、ピタリと揃ったテーブル面に研磨されています。
正確なテーブル面に研磨するためには、テーブル面研磨前のベゼルファセット研磨の精度が必要になり、またテーブル面研磨後のスターファセット研磨の精度も合わせて必要になります。そのため、テーブル面1つで他の面も含めた技術の精度を推し量ることができます。
テーブル面は一番大きいため、ルーペなどで拡大しながら見ると形がよく見えるはずです。テーブル面のカタチがキレイな正八角形になっていることが、ダイヤモンドのカットの輝きを決める第一の基準と言えます。

一般的なExcellentのテーブル面
こちらは一般的な例として、当工房研磨ではないExcellentダイヤモンドのテーブル面です。
Excellent評価にも関わらずテーブル面が正八角形とは言えず、少し歪んだ形をしています。正八角形との差を黄色と水色の範囲で示しています。
工房のExcellentの項の通りテーブル面の形状は隣接するスター面・ベゼル面の研磨精度に影響を受けるため、この「歪み」はテーブル面に隣接する2種類の面の精度が悪いことが分かります。精度に差がある2つのダイヤモンドが同じExcellent評価になってしまうのです。
同じExcellent評価だからといって、その評価を信じすぎないことが重要です。ダイヤモンドの輝きや精度の良さが生み出すものです。この少しの精度の差が、輝きに多大に影響を及ぼすものです。
せっかくのダイヤモンドを購入される機会です。同じカット評価で同じ値段のダイヤモンドにも関わらず輝きに差がある、ということを覚えておいてください。実際のダイヤモンドの一見の輝きから選ぶのも良いですが、テーブル面からそのダイヤモンドの研磨精度を推し量り、よりご自分で納得できるダイヤモンドを選ぶ、という選択肢にしてください。

2・クラウンベゼルファセットでの比較
次に、テーブル面を研磨する前に研磨することになる「ベゼルファセット」について見ていきましょう。
ベゼルファセットはそのダイヤモンドのクラウン部を研磨する際、最初に研磨する面です。そのためベゼルファセット研磨の精度は、その後に研磨するクラウンの全ての面の精度に影響が出る基礎となる面です。
(ラウンドブリリアントカットではベゼルファセットはひし形ですが、当工房のヒロ・コガネイコレクションなどのデザインではひし形ではないベゼルファセットもあります)

当工房研磨のベゼルファセット
画像は「当工房が研磨したベゼルファセット」を拡大したものです。
高い精度で研磨されたベゼルファセットは、対角線がキレイな十字になります。こうなるためには、最初のベゼルファセット研磨が精度良くできている必要があります。また、ベゼルファセットに隣接する他の面の精度も良くないと、対角線が崩れてしまいます。例としてベゼルファセットの対角線としていますが、要は全ての面が精度良くできていないと、この対角線のような細部にズレが出てしまうことになります。
こういったズレはパッと見て分かるほど大きなものではないように感じますが、ダイヤモンドは0.01mmの世界であり、外径が4mm5mmのものですので決して小さなズレとではないのです。全ての精度が全ての面に影響されるため、1つズレが影響して隣にもその隣にも影響し、結果として輝きを大きく損なうズレになってしまいます。
ダイヤモンドの輝きを生むために、こういった精度を追求し、どこから見ても同じ顔になるような研磨が必要です。

一般的なExcellentのベゼルファセット
画像は「一般的なExcellentのベゼルファセット」を拡大したものです。
当工房のベゼルファセットと比べ、対角線が垂直に交差していません。こうなる要因として、(1)ベゼルファセットの研磨する方向に精度がない (2)隣接する面が精度なく大小あるため などが考えられます。
(1)の場合、全8面あるベゼルファセットが正確な対抗に位置しないことになります。ダイヤモンドの輝きの大元となる入射する光が分散したり下部に抜けてしまうことになるため、輝きが損なわれます。
(2)の場合、隣接面の大小はそれらに精度がないと同義です。同じく入射する光の分散・下部への抜けが起こり、これもまた輝きが損なわれます。
要因はこれ以外にも考えられますが、精度ない研磨をすることで結果的に輝きを損なうことに繋がると考えてください。

ポイント1 まとめ
同じExcellent評価のダイヤモンドでも、精度良く研磨された輝くダイヤモンドとExcellentであるだけで輝きが悪いダイヤモンドが存在します。
精度の差は肉眼で簡単に比較できるものではありませんが、目に見える輝きを比較し「なんだか輝きが悪い気がするダイヤモンド」は「研磨の精度が良くないダイヤモンド」であり、そういったダイヤモンドはExcellentでも多くあることを覚えておいてください。
こういった目を養うことで、最高の輝きのダイヤモンドに出会うことができるはずです。
ダイヤモンドは高価なものです。せっかく購入されたダイヤモンドがいまいち輝かないなんてことにならないよう、まずは当工房へお越しください。
当工房研磨と一般的なExcellentダイヤモンドの輝きの比較や、ヒロ・コガネイコレクションの一味違った輝きを持つダイヤモンドを見比べて、ご自分の感性に合ったダイヤモンドを選んでください。