クラリティとは
ダイヤモンド内部の
内包物やキズの評価

 

ダイヤモンドの評価「クラリティ」とは、ダイヤモンドに含有した内包物やキズなどの量=透明度を評価したものです。
内包物やキズなどが全く含まれないダイヤモンドをFL(フローレス)、内包物が多く宝飾用ダイヤモンドとして最低の透明度のダイヤモンドをI3(アイスリー)と評価します。図のように、FLからI3まで11段階になります。

ダイヤモンドが地中深くで長い年月をかけて結晶となる流れで、どうしても内包物やキズが生じてしまいます。それらがダイヤモンドを上部から見た際にどのくらいの比率で存在しているかがクラリティを評価する基準になります。

図に赤色で示したものが内包物などの一例です。よく見比べないと分からないくらいの差ですが、この差でクラリティ評価が変わります。VVSクラスは内包物がないようにも見えますが、VSクラスなどの内包物と同じ位置にほんのわずかな点があります。この程度でもVVSクラスであり、FLやIFともなると時間をかけて観察しないと判断できません。

内包物の位置と種類が大事

クラリティはキレイかどうかの評価ではない

クラリティの評価はダイヤモンドを上部から見て内包物などが見える比率を評価するものですが、ダイヤモンドは立体です。上部から見るだけでは内包物の奥行きまで見ることはできないため、奥に広がっている内包物が上部から見ると細く見える、なんてこともあるためクラリティ評価だけで内包物の体積は分かりません。
 
また、クラリティ評価は上部からの比率であるため、内包物の種類は考慮されません。例えば「クリベージ・フェザー」などの亀裂は透明なため目立ちませんが、カーボンは黒い内包物のため目に見えやすく、クラウドは白い粒状の集合のため比率は低くとも広い範囲で濁ったように見えます。クラリティ評価は良くても、内包物の種類によっては輝きを阻害したりするため、注意が必要です。
 
上記についてはLinkIcon【ポイント2】にて、図面などを用い詳しく説明いたします。1
 
クラリティの評価には「宝石用暗視野顕微鏡」を使います。ダイヤモンドを逆光で透過することで明確に内包物を視認することができます。
 
 

 
 
 
◆例 内包物の種類による見え方の差
 

内包物の種類について

カーボン

カーボンとは、炭素の結晶であるダイヤモンドが作られる際に地中深くで熱や圧力を受けますが、その際に何らかの要因で生じる黒く変色した炭素の結晶のことです。
カーボンは黒色のため内包物のなかでも特に目立ちやすく、位置によっては内部で様々な方向の面に虚像として映り込むため、1つのカーボンが3つにも4つにも見えてしまうことがあります。これは鑑定の評価にも悪影響を及ぼします。
カーボンが大きく内包していると評価だけでなく輝きにも影響が大きいため、同じクラリティ評価のダイヤモンドでもカーボンがある場合は、他の内包物があるダイヤと比べ輝きが悪い可能性があります。
 

クリベージ

クリベージとは、地中で熱・圧力を受けダイヤモンドが作られる際に発生する内部のヒビ・亀裂の一種です。
ヒビ・亀裂なためカーボンのように何かを内包しているワケではなく、クリベージは空間です。分厚いガラスが割れる際に内部に白く不透明なヒビ・亀裂が走ると思います。アレをご想像ください。
基本的にクリベージは透明なため、カーボンよりは目立たない傾向にあります。しかしカーボン同様、位置によっては虚像の映り込みがあるため、目立ちづらいとは言え輝きを損なう可能性があります。さらにヒビ・亀裂はカーボンのように局所的ではなく長さをもっていることが多く、カーボンよりもクリベージの方が目に付きやすい場合もあります。 
 
クリベージは内包物のヒビ・亀裂全般を指しますが、その大きさや走り方によって呼称が変化します。
 

フェザー

鳥の羽のような細だ円形上の亀裂を指します。
主にダイヤモンドの結晶方向に平行に走る平たい亀裂であり、見る方向によって細くなったり太くなったりします。位置によっては虚像が映り込みやすく、目立つ場合もあります。
 

ニードル

針のような細長い内包物を指します。
針状のため基本的には目立たず、位置による映り込みがあってもクラリティが下がりづらい傾向があります。
 

ピンポイント

ぽつんと点を書いたような内包物です。
どの方向から見ても点であるため面積がなく、ルーペでの視認では見逃すくらいの極小の内包物です。顕微鏡による検査が必須となります。
クラリティ評価でもVVSクラスの場合はこのピンポイントのみが確認できたダイヤモンドなことが多く、「VVS1」では1か所、「VVS2」では数か所のピンポイントであることが多いです。
 

クラウド

上記ピンポイントの集合体のようなもので、細かい点が集まって曇ったような内包物を指します。
クラウドはダイヤモンド内部の一部だけのものもありますが、全体に曇りがあるものもあります。全体となると透明とは違う白っぽさがあるダイヤモンドとなります。この白っぽさは輝きも色合いにも影響するため、4C評価の割りに何か濁った輝き・カラーに見えるダイヤモンドはクラウドが全体に入っていることがあります。
 

 
 
 

ダイヤモンドの評価基準4Cとは

客観的に評価される4Cを、ダイヤモンド研磨側の視点でご説明します。

ダイヤ購入のポイントをご紹介

デザイナー目線で、ダイヤモンドを購入するために重視したいポイントをまとめました。

ダイヤモンドをもっと楽しもう

ダイヤモンド工房の中身の紹介や、専門家としてあまり語られない視点でのダイヤモンドの知識などを紹介いたします。

ダイヤモンドの4Cとは

[ダイヤを様々な基準で段階付け]

 

デザイナー・研磨職人

[ダイヤ研磨に携わる匠たち]

ダイヤモンド購入のポイント

[最高のダイヤに出会うため]

 

研磨技術と精度へのこだわり

[細部までこだわりで輝きを追及する]

ダイヤモンドが輝くまで

[輝きが生まれる工程]

 

研磨のワザを支える道具たち

[アイデアを形にしたツールの紹介]